最近では、公共施設、駅等にも携帯型の徐細動器が置かれる様にもなりましたが、病院にはもう少し大型の徐細動器が設置されています。これは、不整脈の治療に使われる器械で、心房細動(心房の収縮が無くなり、細かい波状に動く状態)、心室細動(心室の収縮が無くなり細かい波状に動く状態)を正常な動きに戻す時に用いられる補助人工臓器です。公共施設等に設置されているものについては、医学的な経験の無い方でも使用出来る様に、簡単な使用説明が添付されています。
近く、病院内において、緊急時の徐細動器の使用方法について説明会を開催するので、そのビデオ撮影をして欲しい・・・と、内科の部長から、総婦長を通じて依頼が有りました。説明会のアウトラインを伺ったところ、院内の医師、看護師を対象として、徐細動器の使い方を指導する。予定では4~5時間の予定・・・との事。使用方法は、比較的簡単なもので、左右の胸にパットを押し当てて、スイッチを入れるのが基本の動作との事。操作自体は、比較的簡単な事なのですが、その説明会に4~5時間もかけるという事は、一体どの様な講習会なのか、正直考えさせられました。
今迄も、結婚式でしたら3時間近くの、ノーカット撮影等も経験はしていますが、それが、4~5時間にも及んだ場合、一人のカメラマンでは体力的に、手に負えません。ノーカットとなれば、三脚の下には車輪の付いたドリーで移動しますので、カメラを支える事に不安は有りませんが、どの様な位置、角度から撮影すればベストなのか、ノーカットで再生した場合に、どの様な画面になるか・・。凄く悩みました。今迄、作品等を造った経験が無ければ撮影には、何の抵抗も無かったかもしれません。単なる記念撮影程度のビデオの撮影でしたら、深く考える事も無いのですが、私自身が、一応はプロのビデオカメラマンの経験があるだけに悩みました。どの様な目的で、ビデオの記録を残すのか、又、そのビデオを再生する目的は、単なる行事の記録?、それとも、そのビデオを通じて徐細動器の使用方法を学ぶのが目的なのか・・・と、いろいろ考えました。内科部長にも伺いましたが、ビデオの撮影目的、その使用目的が今一つハッキリしません。撮影を受けた場合、当然の事ですが、そのビデオの使用目的に応じられるべく撮影、作品造りをするのですが、その目的が、今一つはっきりしない為、最終的には、撮影をお断りしました。今思い出しても、私自身は徐細動器の使用方法には興味が有りました。その講習会にも出席して、使用方法を伺いたい位の思いでしたが、ビデオの撮影をお断りをした関係で、その講習会にも出席は出来ませんでした。
ビデオのプロカメラマン・・・と、自負もしないで、簡単な気持ちで、お受けした方が良かったのでしょうか? でも、その出来上がったビデオを見て、その出来上がりを非難されるのも嫌なものです。
やはり、お断りをして、私としては正解だったと、今も、その様に考えています。