2013年12月10日火曜日

山の斜面に建てられた料亭、エレベーターは無し。1階から6階・・

( 三脚は1段、膝をついての撮影でした )
ブライダルビデオのカメラマンとして、数年経過した頃。京都駅のすぐ西側の大きなホテル、今では名前が変りましたが、その当時は京都グランドホテル。ここの2階の宴会場が、私が担当するメインの会場となっていました。自宅からも車で約1時間、調度手頃な距離でも有りました。ところがある時、枚方公園の近く、山の斜面に有る大きな料亭で開かれる結婚式の撮影を受けたのです。初めての会場でしたので、その前日に下見をさせて頂きました。小山の斜面に建てられていて、玄関は最上階。玄関のフロアから1階降りた所に大きな畳の宴会場。椅子席では有りません。座イスのセットされた完全な和室でした。窓には暗幕がセットされていて、披露宴の始めは暗幕を閉めているとの事。一回目のお色直しの際に、カーテンを開けて、外の景色も見て頂く・・・との事。当時のビデオカメラは真空管式でしたので、感度が低い為、ライトの照明を欠いては、満足な撮影は出来ません。そこに、外からの自然光が入った場合、実にカメラマン泣かせの光線です。室内のライトは3200度K(ケルビン)、外光は5500度Kか5600度Kですので、カメラの調整をしないでは、室内光は赤っぽく、外光が入ると青っぽくなってしまいます。撮影する被写体によって、カメラ側の撮影する色温度を調整しなくては、綺麗には残せません。しかし、仕事を受けた以上、プロとしてこなさなくては駄目です。
次に、結婚式場を見せて頂きました。これ又、驚きでした。山の斜面を利用して5階から6階建の方式になっていましたが、結婚式場は、その最も下の階に有ったのです。山の斜面に沿って建てられていますので、エレベーターの設備は有りません。これには、正直参りました。ビデオ機材、当時はビクターのBR-8600とBR-7700、どちらも据え置き型の大型ビデオです。カメラも大型、 それに三脚、5インチのモニター、大型三脚、30メートルのカメラケーブル。普段は、これらを三段式のキャリアカーで運搬して移動をしていたのです。これらの接続ケーブルを外して、バラバラの状態にして、手に提げて階段を上り下りするしか方法は有りません。当日は、いつも通り、予定の2時間前に到着、一番下の結婚式場まで階段を下りて、撮影はスタンバイ。無事、結婚式は完了しました。ご出席の皆さん、それぞれ上階の披露宴会場に向かわれました。私も階上に向かうべく、機材のケーブルを外しにかかっていたところ、ご出席の方が、それをご覧になって、この機材を上に運ぶんですか?・・・。助かりました。ホントに助かりました。ご出席の数人の若い方々が、三段のキャリアーに乗せたままで、階段を一緒に登って下さったのです。もし、この援助が無かった場合、私一人で、6~7回、階段を上り下りしなくてはならなかったのです。それも、2階や3階では有りません。6階です。これは本当に助かりました。カメラマンの手当てを半分位は差し上げても良い位の思いでした。
 和室での披露宴も初めての経験でした。三脚にカメラはセットしていますが、三脚の足は全然伸ばさないで、最下段での撮影。私は膝をついての撮影でした。膝をついての大きなパンニングには一苦労しました。足を伸ばして立っている時は、そーっと回転移動しながらのパンニングが可能ですが、膝を付いている場合には、パン棒に身体が付いて行きません。大きなパンニングには、身体はそのままで、カメラのモニターだけを見ながらのカメラの回転でカバーしました。新郎新婦がお色直しで退場すると、仲居さんが周囲のカーテンを全開。ワーッと、晴天の外景に大きな歓声。山の斜面に建っている料亭ですから、窓の外は大阪平野を一望、すぐ手前には淀川が大きく流れていました。ご出席の皆さまは、その景色に感激なさっていましたが、私は大慌てです。それ迄は、カメラ側のハロゲンランプだけでの撮影でしたので、カメラも3200度Kに調整していました。そのままでは、外光で真っ青になりますので、それからは、撮影する内容によって、カメラ側の色温度を調整する必要が有ります。最近の液晶式のカメラでしたら、ライトは不要なのですが・・・。しかし、その温度調節は、開始前に予測出来ましたので、カメラには、ライトと外光の二つの光源の色温度に設定してありましたので、どうにか、満足に撮影する事が出来ました。人間の目は、外光に対して自然と、色温度を組み替えてくれますが、当時のビデオカメラ、それも業務用機には手動で調整をするしか方法が無いので、大変な労作でした。でも、無事乗り越える事が出来て、撮影完了の電話連絡を、会社宛に無事終える事が出来ました。結婚式場からの階段で、お力添えを頂いた皆さん、遅ればせながら、ありがとうございました。

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